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【MIDNIGHT EYE】村上賢司監督ゆうばりインタビュー vol.1
2008年09月24日 14:57





村上賢司監督
(2008年オープニングセレモニーにて)



1999年来夕時の村上監督
2008年映画祭で、オフシアター部門の審査員として来夕したトム・メスさんが、自身の主宰する映画評論サイト【MIDNIGHT EYE】で、夕張で行った村上賢司監督インタビューを紹介しています。
村上監督は、99年に『夏に生まれる』でオフシアター部門グランプリ受賞以来、今年の映画祭が8年ぶりの夕張再訪。自主制作映画3作品(『拝啓、扇千景様』『俺の流刑地(略称・俺ルケ)』『フジカシングルデート』)がフォーラムシアターにて上映されました。3作品とも発表時期もばらばらですが、“映画を作ること自体を客体化すること”“映画とともに生きている人”という共通テーマをめぐる作品として、ゆうばり映画祭ではまとめて3部作として上映しました。また、今週末より開催されるバンクーバー国際映画祭でも同じくこの3作品が1本の長編という扱いで上映が決定しています。

また、トム・メスさんとは夕張で初対面でしたが、2000年にロッテルダム映画祭で『夏に生まれる』をみたことが【MIDNIGHT EYE】立ち上げのきっかけになっていたりと村上監督とは以前より浅からぬ関係の二人。日本映画に精通したメスさんならではの、海外から見た鋭い日本映画評や、村上監督のドキュメンタリーという手法の可能性、クリエイターの世代間の問題意識の論点の違い、などとても深い映画の話題が展開されているインタビューです。
。メスさんのご好意で、ここに日本語訳を全文掲載させていただきます。多くの方にお読みいただければ幸いです。

【MIDNIGHT EYE】(英語) 
http://www.midnighteye.com/ 
【MIDNIGHT EYE】村上賢司監督紹介ページ(英語)
http://www.midnighteye.com/interviews/kenji_murakami.shtml
【MIDNIGHT EYE】ゆうばり映画祭レポート(英語)
http://www.midnighteye.com/features/go-go-yubari.shtml


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村上賢司インタビュー text by Tom Mes

その名前が人々の話題になることはほとんどないが、村上賢司は10年以上にわたり、コンスタントに素晴らしい作品群をとり続けている監督である。彼の手製のドキュメンタリーはおどけているようでいながら、よく見ると多くの人が考えるドキュメンタリーとはこのようなものであるという理解に対する挑戦であるとわかる。村上監督の作品では現実が虚構となり、また虚構が日常の現実世界を問いただしている。

 彼は自身を映す作品を主としているが、最近はカメラを他者に向け、業界のメインストリームからはるかに離れた場で活動する二名の日本人映画監督を撮った作品を発表している。「拝啓、扇千影様」は「スクエアワールド」などの映像作家で大西健児氏のある一日を描いている。大西氏は作品のために文字通り(自分のだけではなく)命を懸ける人だ。渡邊文樹氏へのインタビュー、「俺の流刑地(略称・俺ルケ)」は日本で最もひたむきで独立心の強い監督が、観客の前で作品を上映する姿を追った魅力的な作品である。

 村上氏の最新作「フジカシングルデート」(2008)では引き続きメタ映画的なモチーフを用いているが、スタイルと主題で原点に立ち戻っている。作り手自身の恋愛における災難という主題は、彼の名を世に知らしめることになったすばらしくも茶目っ気にあふれる作品「夏に生れる」(1999)のものだ。

 ミッドナイト・アイでは2008年3月に行われたゆうばり国際ファンタスティック映画祭の期間中、村上賢司氏と長時間にわたる対話の席を設けた。

 (トム・メス 以下 トム)2000年にロッテルダムの映画祭であなたの「夏に生れる」をはじめとして多くの日本映画から強烈なインパクトを受け、ミッドナイト・アイを立ち上げる発想を得ました。ようやくこうしてご対面でききることになり、光栄です。

 (村上賢司 以下 村上)私もです。以前、私の作品へのあなたのレビューを見たのですが、英語が得意ではないので、あなたが何を書いたのか、ずっと知りたかったのですよ。

(トム)もう憶えていませんよ! あれを書いてから8年も経っていますし。

(村上)その後、私の作品をご覧になりましたか?

(トム)「川口で生きろよ!」、「拝啓、扇千影様」、「俺の流刑地」を観ました。

(村上)新作の「フジカシングルデート」は観ましたか?

(トム)まだです。(ゆうばり映画祭オフシアターコンペの)審査員をしているので、コンペの作品しか観ていません。

(村上)浮気についての映画なんです。妻と子どもが、妻の実家に数日帰るので、私はその間に8ミリカメラを取り出して女性たちとデートに出かけるんです。子どもが8ミリフィルムで撮影を始める理由は、たいてい可愛い女の子を撮りたいからですよね。そうやって女の子と出会ったり、彼女を見つけたりするんです。私はいつでも映画製作のことを考えているので、その時も、映画づくりに興味を持ったきっかけについて考えていました。私が最初に撮りたいと思ったのは、ある女の子でした。「フジカシングルデート」を作るにあたり、私はその感覚に戻りたいと思ったんです。ちょうどフジフィルムがシングル8の生産中止を発表した時でした。これは8ミリフィルムの終わりを意味するかも知れません。私はまだ37歳ですが、歳をとりつつあります。そしてメディアとしてのフィルムがいつの日か消えてなくなる。この作品を撮ることで、その2つをシンクロさせたいと思いました。

(トム)「夏に生れる」のスタイルに戻って、あなた自身にカメラを向けたのですね。

(村上)私の作品のほとんどは私が主人公です。このような手法が日本映画で多くとられてきたものかどうかはわかりません。でも、この手法をとった原一男のような監督はとても政治的な映画を作りました。もちろん、原将人監督の作品のように例外もあります。私はドキュメンタリーという形式とデジタルカメラを使って個人的な映画を作るのが楽しいのです。政治的な主張をしようとか社会的な問題について語ろうとかいうことは考えていません。日常の生活や出来事について語るほうが私にとってもっと大切なことなのです。山形国際ドキュメンタリー映画祭で「川口で生きろよ!」を上映した際、会場にいた年配の監督たちの多くが私の私的な作品に怒りを感じていました。彼らは若手の監督に不満を持ち、もっと政治意識の高い作品を作るべきだと言いました。逆にこのことで私は、個人的な作品を撮り続けよう、年配の監督たちが求めるようなことはしないぞという気持ちをより強くしました。

(トム)あなたの作品は個人的で、スタイルも一癖あるものです。しかし、日々の生活や現実に焦点を置いているから、人々やその生活についてさらに深い理解が得られますね。「拝啓、扇千影様」や「俺の流刑地」の中で見せているのは二人の人物の日常でした。

(村上)渡邊氏との撮影では、最初の日に彼が街中にポスターを貼って回るところを撮り、その翌日は上映会の様子を撮影しました。インタビューは初日の終わりに行いました。その後数日間、彼の日常生活を撮りました。「俺の流刑地」、「拝啓、扇千影様」、そして「フジカシングルデート」を作ったのは、映画監督であることの意味を考えるためだったんです。
【vol.2に続く】
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